疾患詳細

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#139393
Guillain-Barre syndrome, familial (GBS)
(Polyneuropathy, inflammatory demyelinating, acute; AIDP)
(Polyneuropathy, inflammatory demyelinating, chronic; CIDP, included)

Guillain-Barre 症候群, 家族性
(ポリニューロパチー, 炎症性脱髄性, 急性)
(ポリニューロパチー, 炎症性脱髄性, 慢性)
指定難病14 慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー
<小児慢性特定疾病 神69 慢性炎症性脱髄性多発神経炎>

責任遺伝子:601097 Peripheral myelin protein 22 (PMP22) <17p11.2>
遺伝形式:常染色体優性?

(症状)
(GARD)

 Acute demyelinating polyneuropathy (急性脱髄性ポリニューロパチー) [HP:0007131] [0204]
 Autosomal dominant inheritance (常染色体優性遺伝) [HP:0000006]

(UR-DBMS)
【神経】急性の脱髄性ポリニューロパチー
 しびれ/ぴりぴり/疼痛→対称性四肢筋力低下へ→時間とともに悪化
 弛緩性四肢麻痺
 無反射
 感覚障害 +/-
 内斜視
 嚥下障害
 構音障害
 頸部筋力低下
 顔面筋筋力低下
 下肢筋力低下のみ (8%)
 呼吸筋筋力低下 (1/4)→ 呼吸不全
 角膜反射欠損
 昏睡
 運動失調
 眼筋麻痺
 球筋力低下
 眼瞼下垂
 自律神経機能障害 (2/3)
 重度の血圧動揺と心拍不規則 (20%)
 異常発汗
【その他】通常散発性
 先行感染 (上気道または下痢)
 "Miller Fisher バリアント" 三徴: 眼筋筋力低下, 協調運動異常, 反射欠損

(CIDP)
 手足筋力低下
 歩行障害
 握力低下/消失
 感覚鈍麻
 感覚異常 (しびれ,疼痛)
 四肢遠位部を優位に左右対称に起こることが多い
 腱反射低下
 易疲労性
 位置覚異常
 筋肉痛
 振戦
 筋萎縮 (後半)
(神経伝導速度) 脱髄性 (伝導速度の遅延, 伝導ブロック)
(髄液検査) 細胞数増加を伴わない髄液中の蛋白の増加

<小児慢性特定疾病 神69 慢性炎症性脱髄性多発神経炎>
診断方法
Ⅰ. 主要要臨床症状
 2ヶ月以上の経過の, 再発性または慢性進行性の経過をとる多発ニューロパチー
Ⅱ. 重要な検査所見
 1. 末梢神経伝導検査における2本以上の運動神経での脱髄を示唆する所見(伝導速度の低下, 伝導ブロックまたは時間的分散, 遠位潜時の延長, F波の欠如または最短潜時の延長, の少なくとも一つ)
 2. 髄液検査における蛋白細胞解離
 3. MRIにおける神経根あるいは馬尾の肥厚または造影所見
 4. 末梢神経生検における脱髄を示唆する所見
Ⅲ. 除外診断
 末梢神経障害をきたす遺伝性疾患(Charcot-Marie-Tooth病など), 全身性疾患(膠原病・血管炎, 悪性腫瘍など)や, 薬物や毒物への暴露
Ⅳ. 診断基準
Ⅰ, Ⅱ の 1, Ⅲ のすべてを満たし, かつ, Ⅱ の 2 ~ 4 の内の最低一つを満たす場合, 本症と診断する。
当該事業における対象基準
神経A
運動障害, 知的障害, 意識障害, 自閉傾向, 行動障害(自傷行為又は多動), けいれん発作, 皮膚所見(疾病に特徴的で, 治療を要するものをいう。), 呼吸異常, 体温調節異常, 温痛覚低下, 骨折又は脱臼のうち一つ以上の症状が続く場合

概念・定義
 再発性または慢性進行性に末梢神経の脱髄を生じ, 筋力低下あるいは感覚障害を示す自己免疫性炎症性疾患である。
病態
 発症には液性免疫機序と細胞性免疫機序の両者が関与すると考えられている。特異的な自己抗体は見つかっていないが, 最近ランヴィエ絞輪およびその近傍に発現する接着分子が標的抗原として注目されている。
症状
 2ヶ月以上にわたり再発性あるいは慢性進行性の経過をとる。
 典型的CIDPでは, 左右対称性の筋力低下と感覚低下・異常感覚を生じる。近位筋と遠位筋が同様に侵されることが特徴である。深部腱反射は低下ないし消失する。深部感覚障害による失調や振戦もしばしば認められる。時に脳神経障害や自律神経障害も呈する。
 非典型的CIDPとして, 遠位優位型・非対称型・限局型・純粋運動あるいは感覚型がある。
 20歳以下の場合には, 亜急性に発症し, 運動症状が優位で, 再発寛解型を呈することが多い。
検査所見
 末梢神経伝導検査における脱髄の所見 (伝導速度の低下, 伝導ブロックまたは時間的分散の存在, 遠位潜時の延長, F波の欠如または最短潜時の延長)が最も重要な所見である。
 髄液検査では蛋白細胞解離が見られる。またMRIにおける神経根, 馬尾あるいは神経叢の肥厚ないし造影所見も特徴である。
 末梢神経生検は必須ではないが, 脱髄と炎症性細胞の浸潤は診断を支持する所見であり, また他疾患の鑑別に有用なことがある。
治療
 副腎皮質ステロイド薬, 経静脈的免疫グロブリン療法, 血漿浄化療法などの免疫療法を行う。
予後
 再発性または慢性進行性の経過をとることが多く, 筋萎縮や重度の身体障害, 呼吸障害を生じることもあるが, 小児期発症例は成人例よりも予後が良いとされる。
成人期以降の注意点
 運動・感覚障害を後遺する患者や成人期に至っても治療継続を必要とする患者においては, 長期治療による副作用に注意するとともに, 整形外科的管理やリハビリテーション, 社会的な支援を行う。

<指定難病診断基準> 慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー (CIDP; Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy)
1.概要
 慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチーは, 2か月以上にわたる慢性進行性あるいは階段性, 再発性の左右対称性の四肢の遠位, 近位筋の筋力低下・感覚障害を主徴した原因不明の末梢神経疾患である。病因は, 末梢神経ミエリンの構成成分に対する免疫異常により生ずる自己免疫性疾患と考えられているが, 詳細は不明である。
2.原因
 末梢神経ミエリン構成成分に対する自己免疫によって発症すると考えられている。多発性硬化症の合併が見られることもあり, 末梢神経での類似の発症機序が想定されている。
3.症状
 臨床症候は四肢の運動障害(手足の脱力, 筋力低下), 感覚障害(手足のしびれ, 痛み)を認め, まれに脳神経障害, 自律神経も障害されることもある。明確な病型分類はないが, 亜急性又は慢性(2か月から数か月以上)に進行する型(慢性進行型), 再発と寛解を繰り返す型(再発寛解型)がある。四肢の腱反射は低下あるいは消失する。脳脊髄液検査では蛋白細胞解離を認める。また, ステロイド療法, 血漿浄化療法, 免疫グロブリン静注療法などの免疫療法後の臨床症状の改善は, 診断を支持するものである。
4.治療法
 ステロイド療法, 血漿浄化療法, 免疫グロブリン静注療法などの免疫療法。根治治療はない。
5.予後
 慢性進行性や再発性の経過をとることが多く, 筋萎縮や重度の身体障害に陥ることが多い。呼吸障害や褥瘡よりの感染により死亡する例も見られる。自然寛解もときに見られる。
<診断基準>
1.主要項目
(1)発症と経過
 ①2か月以上の経過の, 寛解・増悪を繰り返すか, 慢性進行性の経過をとる多発ニューロパチーである。
 ②当該患者の多発ニューロパチーを説明できる明らかな基礎疾患, 薬物使用, 毒物への暴露がなく, 類似疾患の遺伝歴がない。
(2)検査所見
 ①末梢神経伝導検査で, 2本以上の運動神経において, 脱髄を示唆する所見を示す。※注
 ②脳脊髄液検査で, 蛋白増加を認め, 細胞数は10/mm3未満である。
 ③ステロイド療法, 血漿浄化療法, 免疫グロブリン静注療法, その他の免疫療法などにより改善を示した病歴がある。
 ④MRIで神経根あるいは馬尾の肥厚又は造影所見がある。
 ⑤末梢神経生検で脱髄を示唆する所見がある。
(3)支持的診断所見
 a.慢性炎症性脱髄性多発神経炎
  1.末梢神経伝導検査による感覚神経における異常所見
  2.体性誘発電位における異常所見
  3.免疫療法(ステロイド薬, 血漿浄化療法, 免疫グロブリン静注療法)により改善を示した病歴
 b.多巣性運動ニューロパチー
  1.球麻痺を含む脳神経症状・上位運動ニューロン徴候がない
  2.血清における抗GM1 IgM 抗体が陽性
  3.免疫療法(免疫グロブリン静注療法)により改善を示した病歴
2.鑑別診断
(1)以下の疾患に伴う末梢神経障害
  糖尿病, アミロイドーシス, 膠原病, 血管炎, 固形癌, 悪性リンパ腫, 多発性骨髄腫, POEMS症候群, HIV感染症, サルコイドーシスなど
(2)薬物・毒物への暴露による末梢神経障害
(3)ビタミンなどの栄養障害による末梢神経障害
(4)末梢神経障害を起こす遺伝性疾患
3.診断のカテゴリー
1.主要項目の(1)①②及び(2)①の全てを認め, (2)②から⑤のうちいずれか1つを満たし, (3)で疾患を区別できる。
※注 
2本以上の運動神経で, 脱髄を示唆する所見(①伝導速度の低下, ②伝導ブロック又は時間的分散の存在, ③遠位潜時の延長, ④F波欠如又は最短潜時の延長の少なくとも1つ)が見られることを記載した神経伝導検査レポート又はそれと同内容の文書の写し(判読医の氏名の記載されたもの)を添付すること。
<重症度分類>
機能的評価:Barthel Index 85 点以下を対象とする。

(解説) Guillain-Barre syndrome, acute idiopathic polyneuritis 急性特発性多発(性)神経炎
 神経学的症候群で恐らく免疫介在疾患, しばしば, ある種のウイルス感染の続発症と思われる.四肢の感覚異常および筋脱力または弛緩麻痺を特徴とし, 特徴的な検査所見としては細胞数の上昇を伴わない脳脊髄液の蛋白の上昇がある

(責任遺伝子) *601097 Peripheral myelin protein 22 (PMP22) <17p11.2>
(1) Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A (118220)
.0001 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A (180800 Roussy-Levy syndrome) [PMP22, DUP] (RCV000008939...) (Lupski et al. 1991; Hoogendijk et al. 1992; Raeymaekers et al. 1991, 1992; MacMillan et al. 1992; Lupski et al. 1992; Upadhyaya et al. 1993; Pentao et al. 1992; Palau et al. 1993; Wise et al. 1993; Auer-Grumbach et al. 1998)
.0002 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A [PMP22, LEU16PRO] (rs104894617) (RCV000008940...) (Valentijn et al. 1992; Hoogendijk et al. 1993; Gabreels-Festen et al. 1992)
.0003 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A [PMP22, SER79CYS] (rs104894618) (RCV000008941) (Roa et al. 1993)
.0005 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A, autosomal recessive (Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies, included) [PMP22, THR118MET] (rs104894619) (gnomAD:rs104894619
RCV000008945...) (Roa et al. 1993; Bathke et al. 1996, Nelis et al. 1997; Shy et al. 2006)
.0016 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A, with focally folded myelin sheaths [PMP22, ASP37VAL] (rs104894627) (RCV000008955) (Fabrizi et al. 1999)
.0021 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A [PMP22, 1-BP DEL, 281G] (rs80338763) (RCV000023074...) (Niedrist et al. 2009)
.0022 Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A [PMP22, 1.4-MB TRIPLICATION] (RCV000114955) (Liu et al. 2014)
(2) Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies (162500)
.0004 Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies(139393 Polyneuropathy, inflammatory demyelinating) (Dejerine-Sottas sydrome, autosomal recessive, included) [PMP22, 1.5-Mb DEL] (RCV000008944...) (Chance et al. 1993; Lorenzetti et al. 1995; LeGuern et al. 1995; Korn-Lubetzki et al. 2002; Al-Thihli et al. 2008; Saporta et al. 2011)
.0009 Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies [PMP22, 2-BP DEL, 207TC] (rs587776691) (RCV000008950...) (Nicholson et al. 1994)
.0011 Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies [PMP22, 1-BP INS, 325G] (rs80338763) (RCV000008952...) (Young et al. 1997)
.0017 Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies (162500) [PMP22, ALA67THR] (rs104894623) (RCV000008956) (Nodera et al. 2003)
.0019 Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies (Charcot-Marie-Tooth disease, type 1A) [PMP22, SER22PHE] (rs104894625) (RCV000008958...) (Kleopa et al. 2004)
(3) Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant (145900)
.0006 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant [PMP22, MET69LYS] (rs104894620) (RCV000008947...) (Roa et al. 1993)
.0007 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant [PMP22, SER72LEU] (rs104894621) (RCV000489163...) (Roa et al. 1993; Ionasescu et al. 1996; Marques et al. 1998)
.0008 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant [PMP22, HIS12GLN] (rs104894622) (RCV000168060...) (Valentijn et al. 1995)
.0012 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant [PMP22, 2-BP DEL, 426CT] (rs104894624) (RCV000008953) (Ikegami et al. 1998)
.0013 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal dominant [PMP22, GLY150CYS] (rs104894624) (gnomAD:rs104894624) (RCV000594940...) (Ikegami et al. 1998)
.0018 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal recessive [PMP22, ARG157TRP] (rs28936682) (gnomAD:rs28936682
RCV000193053...) (Parman et al. 1999)
.0020 Dejerine-Sottas sydrome, autosomal recessive (Neuropathy, hereditary, with liability to pressure palsies, included) [PMP22, DEL, EX2-3] (RCV000008961...) (Al-Thihli et al. 2008)
(4) Charcot-Marie-Tooth disease and deafness (118300)
.0010 Charcot-Marie-Tooth disease and deafness [PMP22, ALA67PRO] (rs104894623) (RCV000008951) (Kovach et al. 1999)
.0014 Charcot-Marie-Tooth disease and deafness [PMP22, TRP28ARG] (rs104894626) (RCV000023072) (Boerkoel et al. 2002)
.0015 Charcot-Marie-Tooth disease and deafness [PMP22, 12-BP DEL] (rs786205111) (RCV000790261...) (Sambuughin et al. 2003)

*PMP22: Peripheral myelin protein 22 (160 amino acids)
・膜タンパクで末梢神経のミエリンの主要成分である
・成長調節および末梢神経の髄鞘形成に関与するかも

(コメント) *Guillain-Barre 症候群のトリガー
 Campylobacter (調理不十分の鶏肉)が最も多い
 Influenza virus
 Cytomegalovirus
 Epstein-Barr virus
 Zika virus
 Hepatitis A, B, C, E
 HIV
 Mycoplasma pneumonia
 手術
 Hodgkin's lymphoma
 influenza ワクチンまたは小児期ワクチン (まれ)

(ノート)
●(#) は, 炎症性脱髄性ポリニューロパチーの急性型 (AIDP) と慢性型 (CIDP) をもつ1家系で17番染色体のe PMP22 遺伝子 (601097) の変異が証明されたため

●Guillain-Barre 症候群 (GBS) は, 急性炎症性脱髄性ポリニューロパチーで, 対称性四肢筋力低下と腱反射喪失が最も多い特徴である
 感染病後にみられる暫定的自己免疫疾患である
 →急性腸炎を生じるグラム陰性菌である Campylobacter jejuni が最も多い (Yuki and Tsujino, 1995; Koga et al., 2005)
 C. jejuni 感染後の約1/1,000人で GBS が発症するn (Nachamkin, 2001).

●まれに家系例が報告されているが, GBS は単純なメンデル遺伝による疾患というより, 遺伝と環境因子の両方をもつ複雑な多因子疾患と考えられている (Geleijns et al., 2004).

臨床症状
●Davidson et al. (1992) は, 父と息子で本疾患を報告した
 父の疾患は58歳時であった
 彼は2か月の入院後に完全に回復した (血漿交換療法で治療された)
 息子は9年後43歳時に入院した
 彼も血漿交換療法で治療され, 3か月で完全に回復した
 Davidson et al. (1992) は, 父と息子で非常に類似した HLA タイピング結果についてコメントした

●Yuki and Tsujino (1995) は, C. jejuni 腸炎後にGBSを発症した日本人姉妹2例を報告した
 19か月の妹が最初に感覚障害のない弛緩性四肢麻痺と無反射を生じ, 後に内斜視, 嚥下障害, 構音障害および項部筋力低下を示した
 全ての症状は約2週間後に改善しはじめ, 彼女は117日で介助なく歩行できた
 彼女の3.5歳の姉は類似臨床症状と呼吸不全および核膜反射欠損を生じた
 彼女は7日で昏睡となった
 彼女は22日に意識をとりもどし, ゆっくり筋機能を回復し, 166日で介助なく歩行できた
 両小児はGBSの診断基準に合致し, 培養でC. jejuni enteritisが確認された

●Geleijns et al. (2004) は, 少なくとも2例がGBSをもったオランダ人12家系を報告した
 臨床症状は家系内でも多様であった
 最も多い症状は, 運動欠乏 (四肢筋力低下, 運動失調, 眼筋麻痺, 球筋力低下, 嚥下障害および眼瞼下垂)であったが, 多くの患者は感覚障害ももっていた
 ほぼ全例が前駆感染性疾患をもっていた
 同胞では, 観察あれた頻度は予測頻度より2.6倍増加していた
 若い世代では発症年齢減少の傾向もみられた

遺伝
●Saunders and Rake (1965)は, 筋力低下が4年おいて発症した兄妹2例を報告した
●MacGregor (1965) は, 娘が有痛性感覚ニューロパチーを伴う急性熱性疾患をもったGBSの父を報告した
 これらの早期の報告は家族発生を示唆したが, Yuki and Tsujino (1995) は, Saunders and Rake (1965) と MacGregor (1965) により報告された患者の一部は, GBSの診断基準をみたさないと述べた

●Bar-Joseph et al. (1991) は, イスラエルで両親に血縁のある小児3例を報告した
 全例が3歳依然にGBSを発症した

● Geleijns et al. (2004)は, 少なくとも2例が患者であるオランダ人12家系の観察に基づき, GBS への感受性増加に対すル遺伝的成分があると結論した

分子遺伝学
●Guillain-Barre 症候群は, C. jejuni 先行感染を伴っている
●Ma et al. (1998) は, C. jejuni の先行感染をもっていた日本人 GBS患者43例と対照85例との比較で TNFA 遺伝子のまれな多型の高い頻度を発見した (-308G-A; 191160.0004)

● Guillain-Barre症候群と C. jejuni 先行感染との連関にも関わらず, ごく少数の感染者が疾患を発症する
 →感受性への遺伝的因子の役割を意味する
●Pandey and Vedeler (2003) は, PCR-RFLPにより免疫グロブリンKM遺伝子 (κ免疫グロブリン鎖の定常部の遺伝子マーカー; 147200) についてノルウェーで患者83例と健常対照196例で遺伝子型を調べた
 KM3ホモ接合の頻度が対照に比し患者で有意に増加していた
 逆に, KM1/KM3ヘテロ接合の頻度は対照に比し患者で有意に減少していた
 この結果は, KM遺伝子がGuillain-Barre症候群の病因に関係あるかもしれないことを示唆した

●Korn-Lubetzki et al. (2002) は, 父と娘2人が互いに10年以内に炎症性脱髄性ポリニューロパチーを診断されたユダヤ系クルド人の1家系を記載した
 調べた2例 (慢性型をもつ父と急性型をもつ娘1人)で, 圧迫性麻痺への易離肝性を伴う遺伝性ニューロパチー(HNPP; 162500)で典型的なPMP22の欠失が証明された
 著者らは非典型的, 反復性または家族性炎症性脱髄性ポリニューロパチーの患者でのHNPP欠失のスクリーニングは有用かもしれないと示唆した

機序
●C. jejuni cst-II 遺伝子は ganglioside-like lipooligosaccharides (LOS) の生合成に含まれ, 各々 bifunctional alpha-2,3- と alpha-2,8-sialyltransferase と, 1つの monofunctional alpha-2,3-sialyltransferase をコードする asn51-to-thr (N51T) 多型をもつ
 この多型は, 微生物の外側コアのganglioside epitopeでの変化を通して宿主での自己抗体反応に影響すると思われている
●Koga et al. (2005)は, GBS 患者105例 (類似した神経バリアントをもつ25例を含む) から単離された C. jejuni の比較で, 神経病的菌株は 腸炎菌株 (52%)と比較し, cst-II 遺伝子をもつ頻度が高いこと (85%)を発見した (特にcst-II thr51 バリアント)
 asn51をもつ C. jejuni 株はGQ1b epitopeを規則的に発現(83%)したが, thr51をもつ株は GM1 epitope (92%) および GD1a epitope (91%)を発現した
 →神経病患者でのこれらの株の存在は特異的自己抗体反応性に相当した
 Koga et al. (2005) は, C. jejuni の遺伝子が自己抗体反応性とGBSの臨床症状を決定するのかもしれないと結論した
 →おそらく host-mimicking molecules の修飾を通して

●Hu et al. (2006) は, GBS 患者5例から単離された髄液で IL23p19 タンパク (IL23A; 605580) を検出した
 これらの患者での腓腹神経生検は, 神経内膜マクロファージでIL23p19免疫染色を示した
  IL23A RNA は, GBSの動物モデルである実験的自己免疫性神経炎 (EAN) をもつラット5匹からの坐骨神経検体でアップレギュレーションされた
 死亡したラットでのIL23A RNAのピーク発現は, 臨床重症度ピークの2日前に生じ, その後臨床改善で未検出まで減少した
 Hu et al. (2006) は, IL23は末梢神経の炎症仲介性脱髄の早期effector期で役割をもつかもしれないと結論した

(文献)
(1) MacGregor GA: Familial Guillain-Barre syndrome. (Letter) Lancet 2: 1296 only, 1965
(2) Saunders M, Rake M: Familial Guillain-Barre syndrome. Lancet 2: 1106-1107, 1965
(3) Bar-Joseph, G.; Etzioni, A.; Hemli, J.; Gershoni-Baruch, R. : Guillain-Barre syndrome in three siblings less than 2 years old. Arch. Dis. Child. 66: 1078-1079, 1991
(4) Davidson DLW et al. HLA antigens in familial Guillain-Barre syndrome. (Letter) J. Neurol. Neurosurg. Psychiat. 55: 508-509, 1992
(5) Yuki, N.; Tsujino, Y. : Familial Guillain-Barre syndrome subsequent to Campylobacter jejuni enteritis. (Letter) J. Pediat. 126: 162 only, 1995
(6) Ma JJ et al. Genetic contribution of the tumor necrosis factor region in Guillain-Barre syndrome. Ann. Neurol. 44: 815-818, 1998
(7) Wilmsechurst, J. M.; Pohl, K. R.; Vaughan, R. W.; Hughes, R. A. : Familial Guillain Barre syndrome. Europ. J. Neurol. 6: 499-503, 1999
(8) Nachamkin, I. : Campylobacter enteritis and the Guillain-Barre syndrome. Curr. Infect. Dis. Rep. 3: 116-122, 2001
(9) Korn-Lubetzki, I.; Argov, Z.; Raas-Rothschild, A.; Wirguin, I.; Steiner, I. : Family with inflammatory demyelinating polyneuropathy and the HNPP 17p12 deletion. Am J Med Genet 113: 275-278, 2002
(10) Pandey, J. P.; Vedeler, C. A. : Immunoglobulin KM genes in Guillain-Barre syndrome. Neurogenetics 4: 147-149, 2003
(11) Geleijns, K.; Brouwer, B. A.; Jacobs, B. C.; Houwing-Duistermaat, J. J.; van Duijn, C. M.; van Doorn, P. A. : The occurrence of Guillain-Barre syndrome within families. Neurology 63: 1747-1750, 2004
(12) Koga, M.; Takahashi, M.; Masuda, M.; Hirata, K.; Yuki, N. : Campylobacter gene polymorphism as a determinant of clinical features of Guillain-Barre syndrome. Neurology 65: 1376-1381, 2005
(13) Hu, W.; Dehmel, T.; Pirhonen, J.; Hartung, H.-P.; Kieseier, B. C. : Interleukin 23 in acute inflammatory demyelination of the peripheral nerve. Arch. Neurol. 63: 858-864, 2006

2009/04/09
2012/04/23
2014/04/27
2015/04/22 SNP
2016/09/17 SNP
2018/07/13 RCV
2020/01/14 SNP改定