疾患詳細

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#125850
Maturity-onset diabetes mellitus of the young, type I (MODY1)
(MODY, type 1)
(Mild juvenile diabetes mellitus)

成人型糖尿病, 若年発症, I 型
(軽症若年性糖尿病)
<小児慢性特定疾病 糖3 若年発症成人型糖尿病(MODY)>

責任遺伝子:600281 Hepatocyte nuclear factor 4-alpha (HNF4A) <20q12-q13.1>
遺伝形式:常染色体優性

(症状)
(GARD)
 <30%-79%>
 Abnormal C-peptide level (Cペプチド値異常) [HP:0030794] [2163]
 Abnormal oral glucose tolerance (経口ブドウ耐糖能異常) [HP:0004924] [2013]
 Elevated hemoglobin A1c (ヘモグロビンA1c 増加) [HP:0040217] [2013]
 Glycosuria (糖尿) [HP:0003076] [2013]
 Hyperglycemia (高血糖) [HP:0003074] [2013]
 Hypoinsulinemia (低インスリン血症) [HP:0040216] [20131]
 
 <5%-29%>
 Hyperinsulinemic hypoglycemia (高インスリン血症性低血糖) [HP:0000825] [2014] [2163]
 Hypoplasia of penis (陰茎低形成) [HP:0008736] [14013]
 Large for gestational age (高出生体重) [HP:0001520] [0112]
 Neonatal hypoglycemia (新生児低血糖) [HP:0001998] [2014]
 Nephropathy (腎症) [HP:0000112] [0196]
 Overweight (過体重) [HP:0025502] [0132]
 Nephropathy (腎症) [HP:0000112] [0196]
 Transient neonatal diabetes mellitus (一過性新生児糖尿病) [HP:0008255] [2013]
 
 <1%-4%>
 Exocrine pancreatic insufficiency (膵外分泌不全) [HP:0001738] [240]
 Hepatocellular adenoma (肝細胞腺腫) [HP:0012028] [2301]
 Obesity (肥満) [HP:0001513] [0132]
 Pancreatic hypoplasia (膵低形成) [HP:0002594] [122]
 Renal cyst (腎嚢胞) [HP:0000107] [13001]

(UR-DBMS)
【一般】(肥満)
【心】(心血管病 (15歳以後33%))
【眼】(網膜症 (15歳以後20%))
【腎】(腎症 (15歳以後20%))
【検査】糖尿病
 インスリン補充 (15歳以後20%)
【その他】早期発症
 軽度で比較的合併症のない経過をとる
 Chlorpropamide-alcohol flushing がこの型のマーカーかもしれない

(診断基準: Barbosa 1978)
(1) 少なくとも家系のなかに25歳以下で発症した人が一人はいる
(2) インスリンを使用せずに少なくとも2年間高血糖が改善される
(3) 非ケトン性糖尿病である

(要約)
●若年発症成人型糖尿病 (MODY)は, インスリン産生を破綻させる常染色体優性遺伝子変異が原因である糖尿病のいくつかの遺伝子型である
 より多いポリジーンと環境因子を含む1型および2型糖尿病と区別するため "単一遺伝子性糖尿病" と呼ばれる
 MODY 2 と MODY 3 が最も多い型である
 重症度は型で相当な多様性があるが, 大多数のMODYは1型糖尿病の最も軽いものとしてみられること多い
 →持続性部分的インスリン産生と正常インスリン感受性をもつ
 MODY は, 若年者の2型糖尿病ではない
●症状
 2つの型がある
1)一部の患者は有意な高血糖と典型的糖尿病の兆候をもつ
 多飲と多尿
2)多くの患者は兆候がなく偶然高血糖が発見された時診断される
 妊娠でのルーチン耐糖能検査せの軽度の高血糖の発見が特に特徴である
●MODY 症例は1型および2型糖尿病が推定される集団の5%を占めるかもしれない
●MODYと診断することの有利
1)インスリンは不要かもしれない→経口薬への変更が可能
2)家族のスクリーニングにより他の患者を証明できる
● MODYはまれなので, MODYの多くの症例は最初はより多い糖尿病型と思われる
 →患者が若くて過体重でない時は1型, 患者が過体重の場合は2型, 患者が妊娠中であれば妊娠時糖尿病
 標準的糖尿病治療 (1型と妊娠時糖尿病にはインスリン, 2型には経口血糖低下剤)がMODYを疑う前に開始される
●治療
 一部の MODY型には標準的治療が適当であるが, 例外が生じる
 MODY2では, 経口剤は比較的効果がなく, インスリンは不必要である
 MODY1 と MODY3では, インスリン感受性を増すのにインスリンが経口剤より効果的かもしれない
 スルホニル剤は新生児発症糖尿病の KATP channel 型に有効である
●MODYが疑われる場合
 軽度〜中等度高血糖 (典型的には 130–250 mg/dl, または 7-14 mM) が30歳以前に発見される場合 (しかし50歳以下で誰でもMODYを発症しうる)
 1度近親者に類似した糖尿病患者の場合
 患者と家族に抗体や他の自己免疫 (甲状腺炎など)がない場合
 通常の蜜月期が過ぎてもインスリン要求量が少ない状態が持続する場合 (0.5 u/kg/day未満)
 肥満または他の2型糖尿病またはメタボリック症候群の症状がない場合 (高血圧, 高脂血症, 多嚢胞性卵巣症候群など)
 インスリン抵抗性は非常に極めてまれ
 嚢胞腎が患者または近親者にある場合
 非一過性新生児糖尿病または6か月以前発症の明らかな1型糖尿病の場合
 MODY の診断は特異的遺伝子診断で確認される
●機序
 認知されたMODY型の全ては, インスリン産生不良か, 膵β細胞からの遊離不良による
 異常のいくつかは転写因子遺伝子の変異である
 1つの型は glucokinase遺伝子変異による
 各々の型の MODYに対して, 異なるアミノ酸置換を含む多くの特異的変異が発見されている
 一部の例では, 糖尿病の臨床症状の多様性に貢献する変異遺伝子産物活性に有意な違いがある (インスリン欠乏の程度や発症年齢など)
●遺伝学
 一部の情報源では単一遺伝子性糖尿病の2つの型を区別している (MODY と新生児糖尿病)
 しかし, 共通点が多くあり, いっしょに研究されることが多い
1)片側性
 MODY は常染色体優性で遺伝され, 大多数の患者は糖尿病の他の家族をもつ
 浸透度は型により異なる (40% 〜 90%)
MODY 1 125850 hepatocyte nuclear factor 4α HNF4α遺伝子の機能喪失変異による
MODY 2 125851 glucokinase GCK遺伝子変異による
MODY 3 600496 hepatocyte nuclear factor 1α HNF1α遺伝子変異による (homeobox 遺伝子である)
MODY 4 606392 insulin promoter factor-1 IPF1 homeobox (Pdx1) 遺伝子変異による
MODY 5 137920 hepatocyte nuclear factor 1β 少ない型で膵萎縮や腎疾患をもつ
MODY 6 606394 neurogenic differentiation 1 neurogenic differentiation 1と呼ばれる転写因子遺伝子の変異による
MODY 7 610508 Kruppel-like factor 11 KLF11 遺伝子変異による
MODY 8 609812 Bile salt dependent lipase CEL 遺伝子変異による
MODY 9 612225 PAX4
Permanent neonatal diabetes mellitus 606176 KCNJ11 新しく証明され潜在的に治療可能な単一遺伝子性糖尿病 ABCC8 または KCNJ11 遺伝子変異による
Transient neonatal diabetes mellitus 601410, 610374, 610582 ABCC8遺伝子変異による 新生児発症糖尿病の一部は永久性ではない
2)ホモ接合体
 MODYは常染色体優性であるが, 重症度は2番目の正常なアレルの存在により減速される
 しかし, 2つの異常アレルをもつ患者が証明されている
 →複合ヘテロ接合体はよりまれで, より重症である
MODY2: ホモ接合体 glucokinase 欠乏症は重度の先天性インスリン欠損となり, 持続性新生児糖尿病となる
 約6例が報告されている
 全例が, 生後すぐからインスリン治療を必要とした
 年齢により改善しない
MODY4: ホモ接合体 IPF1 は, 膵形成不全となる
 膵無発生は, 膵内分泌および外分泌の両方の機能が欠乏する
他の型でのホモ接合体変異はまだ記載されていない

<小児慢性特定疾病 糖3 若年発症成人型糖尿病(MODY)>
診断方法
糖尿病の診断には慢性高血糖の確認が不可欠である。
糖代謝の判定区分は血糖値を用いた場合、
 糖尿病型(①空腹時血糖値≧126 mg/dl、または②75 g 経口糖負荷試験(OGTT)2 時間値≧200 mg/dl、あるいは③随時血糖値≧200 mg/dl)、
 正常型(空腹時血糖値<110 mg/dl、かつOGTT2 時間値<140 mg/dl)、
 境界型(糖尿病型でも正常型でもないもの)に分ける。
 また,④HbA1c(NGSP)≧6.5 %の場合も糖尿病型と判定する。
1. 初回検査で、上記の①~④のいずれかを認めた場合は、「糖尿病型」と判定する。別の日に再検査を行い、再び「糖尿病型」が確認されれば糖尿病と診断する。但し、HbA1c のみの反復検査による診断は不可とする。また、血糖値とHbA1c が同一採血で糖尿病型を示すこと(①~③のいずれかと④)が確認されれば、初回検査だけでも糖尿病と診断する。HbA1c を利用する場合には、血糖値が糖尿病型を示すこと(①~③のいずれか)が糖尿病の診断に必須である。糖尿病が疑われる場合には、血糖値による検査と同時にHbA1c を測定することを原則とする。
2. 血糖値が糖尿病型(①~③のいずれか)を示し、かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は、初回検査だけでも糖尿病と診断できる。
・ 糖尿病の典型的症状(口渇,多飲,多尿,体重減少)の存在
・ 確実な糖尿病網膜症の存在
3. 過去において上記1.ないし2.の条件がみたされていたことが確認できる場合は、現在の検査結果にかかわらず糖尿病と診断するか、糖尿病の疑いをもって対応する。
4. 診断が確定しない場合には、患者を追跡し、時期をおいて再検査する。
5. 糖尿病の臨床診断に際しては、糖尿病の有無のみならず、成因分類、代謝異常の程度、合併症などについても把握するよう努める。
●MODYは糖尿病と診断されたもののうち、
1. 常染色体優性遺伝形式で発症する。
2. 膵島関連自己抗体は、陰性である。
3. 膵β細胞機能の遺伝的障害による単一遺伝子糖尿病であり、以下の遺伝子異常が報告されている:HNF4a (MODY1)、Glukokinase (MODY2)、HNF1a (MODY3)、IPF-1 (MODY4)、HNF1b (MODY5)、NeuroD1 (MODY6)など。
当該事業における基準
治療でインスリンその他の糖尿病治療薬又はIGF-1のうち一つ以上を用いている場合。食事療法、生活指導のみの症例は対象外である。

概念・定義
若年発症成人型糖尿病 (以下MODY) は、常染色体優性で発症する若年糖尿病であり、糖代謝に関わる単一遺伝子の機能障害(遺伝子変異、遺伝子全体 あるいは一部の欠失などによる)が原因となって糖尿病を発症する。原因遺伝子としては今日までに13種類が報告されているが、原因不明のMODYXも存在する。
疫学
全糖尿病の1~3%の頻度と考えられている。欧米ではMODY2 (GCK変異) とMODY3 (HNF-1A変異) が主な病型である。日本ではMODY3の頻度が高いと考えられていたが、近年の検討ではMODY2も頻度として高いことが認識されている。MODYは学校検尿糖尿病検診や偶然の検査で発見されることが少なくないため、今後患者数が増加することが予想される

症状および検査結果
一概に肥満を有さず、通常 25歳以下の発症であり、若年発症の糖尿病家族例を有する。病因に自己免疫は関与していないために。膵島関連自己抗体は検出されない。
 MODY2では血糖値に比してインスリン分泌の閾値が高いことが特徴であり、空腹時血糖値の上昇はみられるが、食後血糖値や経口血糖負荷試験2時間血糖値は糖尿病域でないことも少なくない。インスリン分泌能は保持される。本症は無症状で学校検尿糖尿病検診や偶然の検査で発見される頻度が高い。
 MODY3は糖尿病発症に先立って尿糖が陽性になることがあるが、経過に伴いインスリン分泌能は進行性に低下し、腎症や網膜症などの細小血管合併症を併発する頻度が高いことが特徴である。約2/3の症例が薬物療法の適応になる。
 MODY1 (HNF-1A変異)はMODY2, MODY3に次いで頻度が高いが、細小血管合併症の頻度が高く、予後は不良である。MODY5 (HNF-1B変異) では、糖尿病を約半数の症例に認めるが、本質はむしろ腎疾患であり、腎嚢胞、家族性高尿酸血性腎症、その他の腎奇形を約80%の症例が有する。MODYでは全部で13種類の単一遺伝子異常が報告されているが、上記の症例以外はいずれの頻度も極めて低い
治療および予後
MODY2の大半は無治療あるいは食事・運動療法で治療され、予後は良好である。
MODY3、MODY1は薬物療法の適応になる症例が多く、第一選択薬はスルホニル尿素薬である。その後進行性にインスリン分泌能が低下してインスリン治療に移行する症例も少なくない。細小血管合併症の頻度が高く、予後は不良である
●MODYの遺伝子タイプ
MODY 1 125850 hepatocyte nuclear factor 4α HNF4α遺伝子の機能喪失変異による
MODY 2  125851 glucokinase GCK遺伝子変異による
MODY 3  600496 hepatocyte nuclear factor 1α HNF1α遺伝子変異による (homeobox 遺伝子である )
MODY 4  606392 insulin promoter factor-1 IPF1 homeobox (Pdx1) 遺伝子変異による
MODY 5  137920 hepatocyte nuclear factor 1β 少ない型で膵萎縮や腎疾患をもつ
MODY 6  606394 neurogenic differentiation 1 neurogenic differentiation 1と呼ばれる転写因子遺伝子の変異による
MODY 7  610508 Kruppel-like factor 11 KLF11 遺伝子変異による
MODY 8  609812 Bile salt dependent lipase CEL 遺伝子変異による
MODY 9  612225  PAX4
Permanent neonatal diabetes mellitus  606176 GCK, KCNJ11, ABCC8, INS  新しく証明され潜在的に治療可能な単一遺伝子性糖尿病
Transient neonatal diabetes mellitus 601410, 610374, 610582 ZFP57, SUR, BIR 新生児発症糖尿病の一部は永久性ではない

(責任遺伝子) *600281 Hepatocyte nuclear factor 4-alpha (HNF4A) <20q13.12>
(1) Maturity-onset diabetes of the young, type 1 (125850)
.0001 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, GLN268TER] (rs137853334) (RCV000009790) (Yamagata et al. 1996)
.0002 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, ARG154TER] (rs137853335) (RCV000516683...) (Lindner et al. 1997; Eeckhoute et al. 2001)
.0003 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, ARG127TRP] (rs137853336) (gnomAD:rs137853336) (RCV000711955...) (Furuta et al. 1997)
.0005 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, 1-BP DEL, PHE75T ] (RCV000009794) (Moller et al. 1999)
.0006 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, IVS5, DEL A, -2] (rs1600731198) (RCV000009795) (Barrio et al. 2002)
.0007 Maturity-onset diabetes of the young, type 1 [HNF4A, MET364ARG] (rs137853338) (RCV000009796) (Pearson et al. 2007)
(2) Type 2 diabetes mellitus (125853)
.0004 Type 2 diabetes mellitus [HNF4A, VAL393ILE] (rs137853337) (gnomAD:rs137853337) (RCV000481825...) (Hani et al. 1998)
(3) Fanconi renotubular syndrome 4, with maturity-onset diabetes of the young (616026)
.0008 Fanconi renotubular syndrome 4, with maturity-onset diabetes of the young [HNF4A, ARG76TRP] (rs587777732) (RCV000850560...) (Stanescu et al. 2012; Hamilton et al. 2014)

(ノート)
●(#) は I 型若年発症成人型糖尿病は, 20染色体の hepatocyte nuclear factor-4-alpha (HNF4A; 600281) の変異が原因という証拠のため

●Fajans ら(2001)は, HNF4A 遺伝子の変異は比較的まれなMODYの原因であると報告した
 彼らはたった13家系がこの型の MODY をもつと証明されていると述べた

●HNF4A 遺伝子の特異的ミスセンス変異 (R76W; 600281.0008) は, Fanconi 腎尿細管症候群4 (FRTS4; 616026) を伴う MODY を生じる

臨床症状
●Fajans ら(2001)は, MODY のレビューで, HNF4-alpha が HNF1-alpha の発現を調節するので, HNF4A (MODY1) の変異による MODY1 とHNF1A 遺伝子 (MODY3) 変異による MODY の病態生理学的メカニズムは非常に類似していると述べた
 これらの遺伝子の変異をもつ患者は軽症型の糖尿病をもつかもしれない
 同じように空腹時血漿ブドウ糖濃度の軽度の上昇にもかかわらず, HNF4A または HNF1A の変異をもつ患者は, glucokinase 変異をもつ患者 (MODY2; 125851)よりブドウ糖投与後2時間の血漿ブドウ糖濃度が有意に高い
 MODY1 と MODY3 の患者での高血糖は, 時間とともに増加する傾向があり, 患者の多くで傾向血糖降下剤またはインスリンによる治療が必要となる (30 - 40% はインスリンが必要)
 これらの型の MODY は, インスリン分泌の進行性低下を伴う
 大多数の集団では, HNF1A 遺伝子の変異が最も多い MODY の原因である
 MODY1 または MODY3 の患者は糖尿病合併症の全てのスペクトラムをもちうる
 特に網膜または腎を含む微小血管合併症は I 型または II 型糖尿病患者と同様にこれらの患者で多く (糖尿病の期間と血糖調節の程度に一致する), おそらく血糖調節の程度により決定される
 MODY1 の患者はインスリン分泌での軽度の高血糖のブドウ糖効果を失う
 HNF4A 遺伝子変異をもつ前糖尿病および糖尿病患者の両方が, ブドウ糖やアルギニンに反応して少ない量のインスリンを分泌し, アルギニンに反応してのグルカゴン分泌の障害をもつ
 さらに, 膵ポリペプチドの低血糖誘発性分泌の障害が, HNF4A の遺伝子変異をもつ前糖尿病および糖尿病患者で発見されている
 これらの所見は, この遺伝子の変異による HNF4A の欠乏が, 膵島部内のβ, αおよび膵ペプチド細胞の機能を影響するのかもしれない
 HNF1A 変異をもつ患者はブドウ糖の腎吸収の低下 (すなわち, 低いブドウ糖腎閾値) と糖尿をもつ
 HNF4A の欠乏は中性脂肪およびアポリポタンパク合成に影響し, 血清中性脂肪濃度の50%の減少と血清アポリポタンパク AII とCIIIおよびLp(a) 濃度の25%減少を伴う

●R-W 家系の糖尿病患者の大多数はブドウ糖への分泌反応の減少または遅延をもっていた
 類似したブドウ糖分泌反応は島細胞抗体のない NIDDM の遅発型の多くの患者に観察されている
 他の MODY 家系は大多数のNIDDM 患者の早期でみられるようなブドウ糖への高インスリン血症性反応をもつ (Fajans, 1987)
●Byrne ら(1995)は, MODY1 遺伝子の危険アレルを遺伝された R-W 家系の人は, ブドウ糖への異常なインスリン分泌反応をもつと結論した
 これらの変化は高血糖の発症以前に存在する
  glucokinase 変異をもつ MODY 患者の障害と異なるβ細胞機能障害のユニークなメカニズムを示唆する

マッピング
● Bell et al. (1991) は Fajans (1989, 1990)が報告した良く調べられたMODYを伴う R-W 家系でadenosine deaminase 遺伝子 (608958)の DNA多型との連鎖を発見した
 maximum lod = 5.25 (theta = 0.00) であった
 このことは MODY遺伝子座を 20q においた (おそらく 20q13)

●Bowden ら(1992)は, 20番染色体に連鎖していない MODY のエジンバラとウイスコンシン家系を報告した
 さらに彼らは早期発症非インスリン依存性糖尿病が1つの枝家系で20番のマーカーと連鎖し, 2つの別の枝家系では連鎖が見つからなかった大きな多世代家系を観察した

●Rothschild ら(1993)は, MODY 研究と領域の物理地図に有用な 20q12-q13.1 領域の多数の高度に多型のあるマーカーを報告した

●Stoffel ら(1996)は, 71のクローンからなり約18 Mbの領域をスパンする YAC contig を作成した
 20q の物理長の約40%を表す
 この物理地図を使って彼らは MODY1 の位置を D20S169 と D20S176 の間の13 cM (約7 Mb) に精製した

分子遺伝学
●6世代360人以上で MODYを含む糖尿病患者74人をもつ R-W 家系は, 1958年から先方視的に研究されている (Fajans, 1989)
 この家系の人は1861年に東プロシアからミシガンのデトロイトに移民した夫婦の子孫である
 彼らの4人の息子の3人が糖尿病で, 5人の娘の1人が糖尿病であった
 連鎖解析は早期に示唆されたように, この家系の MODY に責任のある遺伝子は強く 20q12-q13.1 に連鎖することを示した
●Yamagata ら(1996)は, hepatocyte nuclear factor-1-alpha (142410) の遺伝子変異がMODY3 (600496) の変異部位であることが証明されたので, R-W 家系の変異を調べるため20番染色体にあることが知られている hepatocyte nuclear factor-4-alpha (600281)遺伝子をスクリーニングした
 gln268-to-ter ナンセンス変異が証明された

●Lindner ら(1997)は, 3世代ドイツ人家系である Dresden-11 でHNF-4-alpha (600281.0002) の R154X 変異を観察した
 Lindner ら(1997) はこの家系の6例でインスリンまたは経口血糖降下剤を必要とする重度の糖尿病にもかかわらず肝または腎機能に異常がないことを報告した
 表現型は R-W家系でみられたものに類似していた
 著者は MODY1は一義的にはβ細胞機能障害であると示唆した

●Moller ら(1999)は, MODY1 の罹患率を決定するため, 10人のデンマーク人非-MODY3 発端者で HNF4-alpha遺伝子の最小プロモーターと12のエクソンをスクリーニングした
 彼らは1例の発端者でフレームシフト変異 (phe75fsdelT; 600281.0005) を発見した
 彼らは HNF4-alpha 遺伝子の障害はデンマークではまれな MODY の原因であると結論した

●Thomas ら(2001)は, HNF4-alpha 遺伝子の二者択一的プロモーターである P2 を証明した
 ヒト遺伝子の以前に証明された P1 プロモーターの 46 kb 5' 側にあった
 RT-PCR では, この遠位上流の P2 プロモーターは膵β細胞の主要な転写部位であり, 肝細胞でも使用される
 P2 プロモーターのいろんな欠失と変異での transfection assays は, HNF1-alpha, HNF1-beta, および IPF1 (600733), その他の MODY 遺伝子をコードすることが知られている転写因子との機能的結合部位であることを明らかにした
 MODY 大1家系では, HNF4-alpha 遺伝子の P2 プロモーターの変異のある IPF1 結合部位は糖尿病と共分離した (lod score 3.25)
 著者はHNF4-alpha 遺伝子の遠位上流 P2 プロモーターで相互結合する4つの MODY 転写因子からなる調節ネットワークを提唱した

●Pearson et al. (2007) は, MODY1 15家系108例を調べ, 出生時体重が変異保因者で有意に高いことを発見した (p < 0.001)
 変異陽性乳児54例中30例 (56%) が巨躯で, 変異陰性乳児では54例中7例 (13%)が巨躯であった (p < 0.001)
 さらに, 変異陽性54例中8例が一過性低血糖をもち, 変異陰性54例にはなかった (p = 0.003)
 不適当な高インスリン血症が調べた低血糖症例3例全例にみられた (例 600281.0007)
 著者らは, HNF4A 変異は出生時体重増加と巨躯を伴い, MODY1 の自然歴には出生時高インスリン血症があり, 後にインスリン分泌減少と糖尿病へと進化すると結論した

遺伝子型/表現型相関
●Barrio ら(2002) は, スペイン人 MODY 家系で主要な MODY サブタイプの頻度を推定し, 遺伝子型-表現型相関を解析した
 関連のない MODY 患児22例と97人の親戚が, GCK (138079), HNF1A, および HNF4A遺伝子のコード領域の変異をスクリーニングされた (PCR-SSCP +/- 直接シークェンシングにより)
 MODY 遺伝子の変異は家系の64%に証明された
 GCK/MODY2 変異が最も多く41%で発見された
  7つの新しい変異と2つの以前に記載された変異があった
 4家系 (18%) は, HNF1A/MODY3 遺伝子に変異があった
  以前に報告されていない変異があった
 1家系 (4%) は, HNF4A 遺伝子の新しい変異をもっていた (IVS5-2delA; 600281.0006)
  スペイン人集団の MODY 家系での最初の報告であった
 2番目と3番目に多いMODY3 と MODY1変異の臨床発現は, より重度で, 慢性合併症の頻度が多かった

(文献)
(1) Falk CT et al. Possible localization of the gene(s) for juvenile diabetes mellitus (JDM) to the HLA region of chromosome 6. Cytogenet Cell Genet 22: 298-300, 1978
(2) Fajans, S. S. : MODY: a model for understanding the pathogenesis and natural history of type II diabetes. Hormone Metab. Res. 19: 591-599, 1987
(3) Fajans SS: Maturity-onset diabetes of the young (MODY). Diabetes Metab Rev 5: 579-606, 1989
(4) Fajans SS: Scope and heterogeneous nature of MODY. Diabetes Care 13: 49-64, 1990
(5) Bell GI et al. Gene for non-insulin-dependent diabetes mellitus (maturity-onset diabetes of the young subtype) is linked to DNA polymorphism on human chromosome 20q. Proc Nat Acad Sci 88: 1484-1488, 1991
(6) Bowden DW et al. Linkage analysis of maturity-onset diabetes of the young (MODY): genetic heterogeneity and nonpenetrance. Am J Hum Genet 50: 607-618, 1992
(7) Rothschild CB et al. A genetic map of chromosome 20q12-q13.1: multiple highly polymorphic microsatellite and RFLP markers linked to the maturity-onset diabetes of the young (MODY) locus. Am J Hum Genet 52: 110-123, 1993
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