疾患詳細

疾患詳細





#260300
Parkinson disease 15, autosomal recessive (PARK15)
(Parkinsonian-pyramidal syndrome; PKPS)
(Pallidopyramidal syndrome
(Pallido-pyramidal syndrome)

パーキンソン病 15, 常染色体劣性 (PARK15)
(パーキンソン病-錐体路症候群)
(淡蒼球錐体路症候群)

責任遺伝子:605648 F-box only protein 7 (BXO7) <22q12.3>
遺伝形式:常染色体劣性

(症状)
(GARD)
 <100%>
 Parkinsonism (パーキンソニズム) [HP:0001300] [028]
 
 <30%-79%>
 Abnormal autonomic nervous system physiology (自律神経生理学的異常) [HP:0012332] [0200]
 Babinski sign (バビンスキー徴候) [HP:0003487] [0213]
 Bradykinesia (寡動) [HP:0002067] [02608]
 Dysphagia (嚥下障害) [HP:0002015] [01820]
 Dystonia (ジストニア) [HP:0001332] [0240]
 Hyperreflexia (反射亢進) [HP:0001347] [0241]
 Hypomimic face (表情減少) [HP:0000338] [0411]
 Intention tremor (企図振戦) [HP:0002080] [02610]
 Monotonic speech (単調な発語) [HP:0031435] [0235]
 Myoclonus (ミオクローヌス) [HP:0001336] [02612]
 Neurogenic bladder (神経因性膀胱) [HP:0000011] [1312]
 Postural instability (姿勢不安定) [HP:0002172] [028]
 Rigidity (固縮) [HP:0002063] [0240]
 Shuffling gait  (ひきずり歩行) [HP:0002362]  [028]
 Sleep disturbance (睡眠障害) [HP:0002360] [0152]
 Slow saccadic eye movements (遅い衝動性眼球運動) [HP:0000514] [0695]
 Spasticity (痙縮) [HP:0001257] [0241]
 Substantia nigra gliosis (黒質グリオーシス) [HP:0011960]
 Talipes equinovarus (内反尖足) [HP:0001762] [15600]
 Visual hallucinations (視覚幻覚) [HP:0002367] [0206]
 
 <5%-29%>
 Dementia (認知症) [HP:0000726] [0123]
 Lewy bodies (レビー小体) [HP:0100315] [02]
 
 
 Abnormality of extrapyramidal motor function (錐体外路運動機能異常) [HP:0002071] [02141]
 Autosomal recessive inheritance (常染色体劣性遺伝) [HP:0000007]
 Dysarthria (構音障害) [HP:0001260] [0230]
 Lower limb spasticity (下肢痙縮) [HP:0002061] [0241]
 Parkinsonism with favorable response to dopaminergic medication (ドパミンによく反応するパーキンソニズム) [HP:0002548] [028]
 Scissor gait (はさみ歩行) [HP:0012407] [028]
 Slow progression (緩徐進行性) [HP:0003677]
 Tremor (振戦) [HP:0001337] [02604]
 Young adult onset (若年成人発症) [HP:0011462]

(UR-DBMS)
【神経】錐体路症状
 痙縮, 主に下肢
 反射亢進
 はさみ歩行
 開扇反射
 錐体外路症状
 パーキンソン症状
 固縮
 動作緩慢
 Hypomimia (表情減少)
 振戦
 単調な会話
 姿勢不安定性
【四肢】内反尖足
【検査】組織は淡蒼球蒼白, ansa lenticularis 菲薄化, 黒質の軽度のしわと細胞変化, 錐体と交叉錐体路の早期脱髄を示す
【その他】思春期またはじ若年成人発症
 小児期発症が1家系で報告されている
 錐体外路症状は levodopa に反応がよい

(責任遺伝子) *605648 F-box only protein 7 (FBXO7) <22q12.3>
.0001 Parkinson disease 15, autosomal recessive (260300) [FBXO7, ARG378GLY] (rs71799110) (Shojaee et al. 2008)
.0002 Parkinson disease 15, autosomal recessive [FBXO7, ARG498TER] (rs121918304) (Di Fonzo et al. 2009)
.0003 Parkinson disease 15, autosomal recessive [FBXO7, IVS7DS, G-T, +1] (rs730880272) (Di Fonzo et al. 2009)
.0004 Parkinson disease 15, autosomal recessive [FBXO7, THR22MET] (rs121918305) (Di Fonzo et al. 2009)

*FBXO7(F-Box Protein 7)
 Genome size 24,154 bp, 522 aa, 58503 Da
 Exons: 9, Coding exons: 9, Transcript length: 2,060 bps, Translation length: 522 residues
●この遺伝子は, 約40アミノ酸のモチーフであるF-boxを特徴とするF-boxタンパク質ファミリーの一員をコードしている
 F-boxタンパク質は, SCF(SKP1-cullin-F-box)と呼ばれるユビキチンタンパク質リガーゼ複合体の4つのサブユニットの1つを構成し, リン酸化依存性のユビキチン化に機能している
 F-boxタンパク質は, WD-40ドメインを含むFbws, ロイシンリッチリピートを含むFbls, 異なるタンパク質-タンパク質相互作用モジュールを含むか, 認識できるモチーフを持たないFbxsの3つのクラスに分類される
 この遺伝子がコードするタンパク質は, Fbxsクラスに属し, 造血の制御に役割を果たしていると考えられている
 SCF (SKP1-CUL1-F-box protein) E3ユビキチン-プロテインリガーゼ複合体の基質認識コンポーネントで, 標的タンパク質のユビキチン化とそれに続くプロテアソーム分解を仲介する
 BIRC2とDLGAP5を認識する
 PINK1の下流で, PRKNを機能不全の脱分極したミトコンドリアにターゲティングすることにより, 選択的オートファジー(マイトファジー)を介して損傷したミトコンドリアのクリアランスに役割を果たす
 MFN1のユビキチン化を促進する
FBXO7に関連する疾患:パーキンソン病15, 常染色体劣性の早期発症型, 早期発症型パーキンソン病
関連するパスウェイ:自然免疫系と神経科学

(ノート)
●(#)は, パーキンソン病-錐体外路症候群としても知られる早期発症のパーキンソン病-15(PARK15)が, 22q12のFBXO7遺伝子(605648)のホモ接合または複合ヘテロ接合変異が原因であるという証拠があるため

●表現型の説明およびパーキンソン病の遺伝的異質性に関する議論については, PD(168600)を参照

臨床的特徴
●Davison(1954)は, 3家系5例の罹患例を報告した
 1家系では両親がいとこの兄妹が, もう1家系では両親が叔父姪の兄妹が罹患していた
 症状は10代後半から30代前半に始まり, 振戦麻痺と錐体路徴候を呈した
 死後の検査では, 錐体部の蒼白, レンズ状体の菲薄化, 黒質のわずかな収縮と細胞変化, 錐体部と交差錐体路の初期の脱髄が認められた
 Davisonの症例の1つは, Ramsey Hunt(1917年)によって報告されている
 13歳でパーキンソン病の振戦麻痺型の振戦と硬直が始まった
 臨床的には, 一時的にウィルソン病の可能性が考えられた
 この患者は65歳まで生存した
 LangeとPoppe(1963)は6人の兄弟の家族性進行性淡蒼球萎縮症として同じ疾患を記述した可能性がある
 Langeら(1970)は剖検所見に関する情報を提供した

●Horowitz and Greenberg (1975)は, 人生の最初の10年間にパーキンソニズムを発症した同胞を報告した
 二人とも後にDavison(1954)が報告した疾患に類似した皮質脊髄疾患の症状を発症した
 臨床的特徴は, 振戦, 硬直, 運動失調, 鋏状歩行, 反射亢進などであった
 この疾患は, それぞれ18歳と20歳でレボドパ治療を開始するまで進行した
 錐体外路症状が極めて良好な反応を示し, 錐体路症状が同等の反応を示さなかったことから, 薬理作用の特異性が示された

●Livingstone(1983)は, 兄と妹が罹患した家系について述べた

●Nisipeanuら(1994)は, 2人の兄弟がそれぞれレボドパに反応するパーキンソン病-錐体路症候群を発症した2つの血縁関係のない家系を報告した
 最初の家系はリビア系ユダヤ人で, 兄と妹は12歳の時に下肢のけいれんと反射亢進を発症した
 この疾患は進行性で, 歩行障害が生じ, その後, 振戦や寡動などの錐体外路症状が発現した
 2番目の家系の2人の兄弟は, 血縁関係にあるイラク系ユダヤ人の両親から生まれ, それぞれ21歳と23歳で下肢の痙縮を発症した
 錐体外路症状は約3年後に明らかになった
 4人ともレボドパ治療に良好な反応を示した
 Nisipeanuら(1994年)は, 彼らの患者では解剖学的病変を正確に特定するための剖検情報が得られなかったため, 「淡蒼球-錐体路症候群」というよりも「パーキンソン-錐体路症候群」という用語の方が適切であると指摘した
 
●Srivastavaら(2005年)は, 血縁関係にある両親から生まれた22歳のインド人女性で, 12歳の時から進行性の徐脈と硬直の病歴があったことを報告した
 20歳の時に眼瞼スパスムを発症し, 急激に運動障害, 体のこわばり, 姿勢の不安定さが悪化し, 寝たきりになってしまった
 また, 頻尿や尿意, 足首のクローヌスも認められた
 身体検査では, 仮面様顔貌, 単調な会話, 遅いサッカード, 反射亢進, 足底伸展反応, 軽度の意図的振戦が見られた
 認知機能は正常であった
 脳MRIでは両側の大脳基底核に石灰化が認められ, 著者らは特発性の可能性を示唆した
 彼女はL-DOPAに対して良好な臨床反応を示した

●Panagariyaら(2007年)は, 19歳のインド人男性を報告した
 18か月前から徐々に進行する歩行困難, 首の異常な動き, ゆっくりとした単調な声を呈していた
 その後, 両上肢の姿勢振戦, 身体の異常な姿勢, 口腔周囲のジスキネジアを発症した
 家系に神経疾患の既往はなく, 記憶障害もなかった
 身体検査では, 四肢の非対称性錐体筋力低下と歯車硬直が認められた
 SPECTでは, 左前頭頭頂領域と左基底核に低灌流, 左側頭葉には最小限の低灌流が認められた
 L-DOPAに対する臨床反応は良好であった

●Shojaeeら(2008)は, パーキンソン病-錐体外路症候群のイラン人大家系を報告した
 遺伝は常染色体劣性であった
 罹患者全員が小児期から等脚性変形を示していたが, 錐体外路症状が明らかになったのは第3世代の若年成人になってからであった
 全員がバビンスキー徴候, 反射亢進, 主に下肢に限局した痙縮を示した
 報告時点では, 最も重症の3名のみが, 硬直, 寡動, 低身長, 単調な発話などの錐体外路症状を認めた
 これらの症状は, 錐体外路症状の出現から5~20年後に明らかになった
 治療に同意した1名の患者は, L-DOPAに良好な反応を示した
 また, 振戦, 眼球運動麻痺, 認知症, 小脳症状を呈した患者はいなかった

●Di Fonzoら(2009年)は, イタリア系とオランダ系の2つの無関係な家系がPARK15を発症したことを報告した
 罹患者は若年性に発症し(範囲は10~19歳), けいれん, 反射亢進, L-DOPAに対する反応の変化を伴う進行性パーキンソニズムを示した
 疾患の進行は遅く, 発症から数十年後にはすべての患者が生存していた

マッピング
●Shojaeeら(2008年)は, 500K SNPアレイを用いて, イランのパーキンソン病・錐体外路症候群の家系のゲノムワイド連鎖解析を行った
 その結果, 常染色体劣性モデルにおけるパラメトリックなlodスコアの最大値は22q染色体で3.39であった
 著者らは, ゲノム上のSNP数が10万以下のチップを使用していた場合には, 連鎖が見逃されていた可能性があると指摘した

分子遺伝学
●Shojaeeら(2008年)は, イラン人家系のパーキンソン病・錐体外路症候群の患者において, FBXO7遺伝子にホモ接合変異を証明した(605648.0001)

●Di Fonzoら(2009年)は, イタリアとオランダのPARK15家系の罹患者において, FBXO7遺伝子にそれぞれホモ接合(605648.0002)と複合ヘテロ接合(605648.0003と605648.0004)の変異を証明した

(文献)
(1) Hunt JR: Progressive atrophy of the globus pallidus (primary atrophy of the pallidal system): a system disease of the paralysis agitans type, characterized by atrophy of the motor cells of the corpus striatum; a contribution to the functions of the corpus striatum. Brain 40: 58-148, 1917
(2) Davison C: Pallido-pyramidal disease. J Neuropath Exp Neurol 13: 50-59, 1954
(3) Lange E, Poppe W: Klinischer Beitrag zum Krankheitsbild der progressiven Pallidumatrophie (van Bogaert). Psychiat Neurol 146: 176-192, 1963
(4) Jellinger K: Progressive Pallidumatrophie. J Neurol Sci 6: 19-44, 1968
(5) Lange, E.; Poppe, W.; Scholtze, P. :
Familial progressive pallidum atrophy. Europ. Neurol. 3: 265-267, 1970
6() Horowitz, G.; Greenberg, J. :
Pallido-pyramidal syndrome treated with levodopa. J. Neurol. Neurosurg. Psychiat. 38: 238-240, 1975
(7) Nisipeanu, P.; Kuritzky, A.; Korczyn, A. D. :
Familial levodopa-responsive parkinsonian-pyramidal syndrome Mov. Disord. 9: 673-675, 1994
(8) Srivastava, T.; Goyal, V.; Singh, S.; Shukla, G.; Behari, M. :
Pallido-pyramidal syndrome with blepharospasm and good response to levodopa. J. Neurol. 252: 1537-1538, 2005
(9) Panagariya, A.; Sharma, B.; Dev, A. :
Pallido-pyramidal syndrome: a rare entity. (Letter) Indian J. Med. Sci. 61: 156-157, 2007
(10) Shojaee, S.; Sina, F.; Banihosseini, S. S.; Kazemi, M. H.; Kalhor, R.; Shahidi, G.-A.; Fakhrai-Rad, H.; Ronaghi, M.; Elahi, E. :
Genome-wide linkage analysis of a parkinsonian-pyramidal syndrome pedigree by 500 K SNP arrays. Am. J. Hum. Genet. 82: 1375-1384, 2008
(11) Di Fonzo, A.; Dekker, M. C. J.; Montagna, P.; Baruzzi, A.; Yonova, E. H.; Correia Guedes, L.; Szczerbinska, A.; Zhao, T.; Dubbel-Hulsman, L. O. M.; Wouters, C. H.; de Graaff, E.; Oyen, W. J. G.; Simons, E. J.; Breedveld, G. J.; Oostra, B. A.; Horstink, M. W.; Bonifati, V. : FBXO7 mutations cause autosomal recessive, early-onset parkinsonian-pyramidal syndrome. Neurology 72: 240-245, 2009

2010/01/05
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