疾患詳細

疾患詳細



(a) 手掌角化症. (b) 足底角化症. (c) 膝の過角化症. (d) 萠出している永久歯を含む歯周炎. (e) 萠出中の永久歯を侵す重度の歯槽骨喪失. (Hart TC et al. Mutations of the cathepsin C gene are responsible for Papillon-Lefevre syndrome. J. Med. Genet. 36: 881-887, 1999)

#245000
Papillon-Lefevre syndrome (PALS)
(PLS)
(Keratosis palmoplantaris with periodontopathia)

Papillon-Lefevre 症候群
(掌蹠角化症-歯周囲症)

責任遺伝子:602365 Cathepsin C (CTSC) <11q14.2>
遺伝形式:常染色体劣性

(要約)
●Papillon–Lefèvre 症候群 (PLS; 掌蹠角皮症-歯周囲炎) は, 常染色体劣性遺伝性疾患で, cathepsin C 欠乏が原因である
 歯周囲炎と掌蹠角皮症が特徴である
 歯周囲の重度の破壊は, 4歳までにほとんどの乳歯の喪失となり, 14歳までにほとんどの永久歯の喪失となる
 掌蹠過角化症は生後2-3年で出現する
●cathepsin C 遺伝子 (CTSC) <11q14.1-q14.3> が原因
●レチノイドと抗生剤が使用される

(症状)
(GARD)
 <80%-99%>
 Abnormal fingernail morphology (指爪形態異常) [HP:0001231] [19]
 Atrophy of alveolar ridges (歯槽隆起萎縮) [HP:0006308] [08081]
 Gingivitis (歯肉炎) [HP:0000230] [0806]
 Palmoplantar hyperkeratosis (掌蹠過角化症) [HP:0000972] [1530]
 Palmoplantar keratoderma (掌蹠角皮症) [HP:0000982] [1530]
 Premature loss of primary teeth (乳歯早期喪失] [HP:0006323] [08308]
 Pustule (化膿疹) [HP:0200039]  [18007]
 Pimple (尋常性痤瘡) [HP:0200039] [18000]
 Reduced number of teeth (歯数減少) [HP:0009804] [08301]
 Severe periodontitis (重症歯周囲炎) [HP:0000166] [08311]
 
 <30%-79%>
 Cerebral calcification (大脳石灰化) [HP:0002514] [160115]
 Chronic furunculosis (慢性癤症) [HP:0011132] [18007]
 Nail dystrophy (爪ジストロフィー) [HP:0008404] [1901]
 Recurrent cutaneous abscess formation (反復性皮膚膿瘍形成) [HP:0100838] [01423]
 Recurrent respiratory infections (反復性呼吸器感染) [HP:0002205] [014230]
 
 <5%-29%>
 Arachnodactyly (くも指) [HP:0001166] [15401]
 Cigarette-paper scars (タバコ巻紙様瘢痕) [HP:0001073] [18035]
 Generalized hirsutism (全身性多毛) [HP:0002230] [17112]
 Hypertrichosis (多毛) [HP:0000998] [17112]
 Hypopigmented skin patches (皮膚低色素斑) [HP:0001053] [18014]
 Liver abscess (肝膿瘍) [HP:0100523] [12102]
 Melanoma (メラノーマ) [HP:0002861] [2347]
 Osteolysis (骨融解) [HP:0002797] [1600036]
 Sparse body hair (疎な体毛) [HP:0002231] [1770]
 Squamous cell carcinoma (扁平上皮癌) [HP:0002860] [2303]
 
 
 Autosomal recessive inheritance (常染色体劣性遺伝) [HP:0000007]
 Choroid plexus calcification (脈絡叢石灰化) [HP:0006960] [160115]
 Premature loss of teeth (歯早期脱落) [HP:0006480] [08308]
 
(UR-DBMS)
【一般】(易感染性)
【眼】(眼瞼嚢胞 )
【口】*辺縁性歯周囲破壊 (periodontoclasis) (重度の乳歯および永久歯歯周囲破壊) → 14歳までに全歯脱落
 重度の歯肉口内炎
 歯早期脱落
 齲歯
 減歯症
【X線】硬膜および脈絡膜叢石灰化
 (大脳鎌の異所性石灰化)
【毛髪】(禿頭)
【皮膚】*掌蹠のびまん性の赤色および剥脱 (10-30歳代) →掌蹠角化症 (重症ではない; 冬悪化する)
 反復性膿皮症 (20%)
【爪】(脆い爪)
【血液学】領域性リンパ節症

(鑑別診断) Haim-Munk 症候群 (245010)
(頻度) 200 例以上
(血縁) 両親の血縁は約40%
(責任遺伝子) *602365 Cathepsin C (CTSC) <11q14.2>
(1) Papillon-Lefevre syndrome (245000)
.0001 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, ARG210TER [dbSNP:rs104894206] (Toomes et al. 1999)
.0002 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, IVS3AS, G-A, -1 [dbSNP:rs587776654] (Toomes et al. 1999)
.0003 Papillon-Lefevre syndrome CTSC, GLN252LEU [dbSNP:rs104894207] (Toomes et al. 1999)
.0004 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, GLU286TER [dbSNP:rs104894209] (Hart et al. 1999)
.0005 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, 1-BP DEL, 2692A [dbSNP:rs587776655] (Hart et al. 1999)
.0007 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, GLN286TER [dbSNP:rs104894209] (Hart et al. 2000)
.0008 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, TRP39SER [dbSNP:rs104894210] (Nakano et al. 2001)
.0009 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, GLY301SER [dbSNP:rs104894214] (Nakano et al. 2001)
.0010 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, TRP429CYS [dbSNP:rs104894215] (Lefevre et al. 2001)
.0011 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, HIS127PRO [dbSNP:rs104894216] (Lefevre et al. 2001)
.0014 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, 1-BP DEL, 1056T [dbSNP:rs587777532] (Lefevre et al. 2001)
.0015 Papillon-Lefevre syndrome [CTSC, TYR32TER [dbSNP:rs587777533] (Lefevre et al. 2001)
(2) Haim-Munk syndrome (245010)
.0006 Haim-Munk syndrome CTSC, GLN286ARG [dbSNP:rs104894208] (Hart et al. 2000)
(3) Periodontitis, juvenile (170650)
.0012 Periodontitis, aggressive, 1 [CTSC, TYR412CYS [dbSNP:rs28937571] (Hewitt et al. 2004)
.0013 Periodontitis, aggressive, 1 (Papillon-Lefevre syndrome, included) [CTSC, TYR347CYS [dbSNP:rs104894211] (Hart et al. 2000)
.0016 Periodontitis, aggressive, 1 [CTSC, ARG272HIS [dbSNP:rs587777534] (Hewitt et al. 2004)

*CTSC: Cathepsin C (463 aa)
・peptidase C1ファミリーのメンバーで, 免疫/炎症細胞での多くの serine proteinases の活性化での中心的コーディネーターと思われるリソソーム cysteine proteinase である
・1つの前駆体から産生される二硫化結合重鎖と軽鎖のダイマーからなり, ペプチドの残基部分は成熟酵素の折畳みと安定化への分子内シャペロンとして作用する
・この酵素は活性にCl(-)を必要とし, グルカゴンを分解できる
・thiol protease である
・dipeptidylpeptidase 活性をもつ
・極性および嫌水性アミノ酸の両方からなる幅広いdipeptide基質に対して作用する
・exopeptidase と endopeptidase の両方として作用できる
・elastase, cathepsin G および granzymes A と Bなどの serine proteases を活性化する
・neuraminidase や factor XIIIを活性化できる

(ノート)
A number sign (#) is used with this entry because Papillon-Lefevre syndrome (PALS) is caused by homozygous or compound heterozygous mutation in the cathepsin C gene (CTSC, or DPPI; 602365) on chromosome 11q14.

Mutations in the CTSC gene also cause Haim-Munk syndrome (HMS; 245010) and aggressive periodontosis-1 (170650).

Papillion-Lefevre syndrome is an autosomal recessive disorder characterized by palmoplantar keratoderma, periodonitis, and premature loss of dentition (summary by Lefevre et al., 2001).

臨床症状
●乳歯と永久歯の双方が早期に脱落する
 皮膚病変は Meleda (248300) 病に非常に類似するか同じである
●Gorlin ら(1964)は, 硬膜の石灰化が3番目の主要症状であると示唆した

●Nazzaro ら(1988) は, 2歳から11歳の同胞例を報告した
 両親はまたいとこであった

●Hattab ら(1995) は, 計8人の子供をもつ2つのヨルダン人患者家系の4例を報告した
 患者は4.5歳から12歳で, 彼らの両親はいとこであったが患者ではなかった
 全例で, 皮膚病変の重症度と季節による変化および歯周囲破壊の強さと関係があった
 永久歯の早期萌出があった
 歯は歯根吸収のサインがなく, 齲歯もなかった

●Ullbro et al. (2003) は, Papillon-Lefevre 症候群47例を含む研究で, 凖量的スコアリングシステムを使って, 皮膚および口腔病変の重症度のランクをつけた
 皮膚変化の重症度が, 年齢, 口腔周囲感染, またはその両方と相関するかを評価した
 彼らは, 例外なく, 皮膚および口腔変化が早期に生じることを発見した
 皮膚病変は, 年齢と相関を示さなかったが, 口腔周囲感染は有意に乳歯をもつ小児で悪かった
 足と手の状況間には強い相関があったが, 足のスコアは有意に高かった
 口腔周囲感染と皮膚症状の重症度とんは有意な相関はなく, これら2つの Papillon-Lefevre 症候群の主要成分は, 互いに関連がないという概念を支持した

●Almuneef et al. (2003) は, 両親に血縁のある化膿性肝膿瘍をもつサウジアラビア人男性を記載した
 Papillon-Lefevre 症候群をもつことが発見された
 彼らは, この連関のいくつかの他の報告を発見し, 肝膿瘍は PLS での好中球機能障害の重要な合併症であると結論した

●Toomes et al. (1999) は, Papillon-Lefevre 症候群の臨床像をまとめた
 本疾患は, おもに患者を苦しめる重度の歯周炎のため, 主に歯科医により認知される
 乳歯と永久歯の双方が侵され, 早期の歯喪失となる
 軽度の乾癬型落屑性皮膚から明らかな角化症までの, 掌蹠角化症が, 典型的には生後3歳以内に生じる
 角化症は, 肘や膝などの他の部位も侵す
 大多数の PLS 患者は, 歯周囲炎と角化症の両方を示す
 数例の患者は, 2つのうち1つのみをもち, まれに歯周炎は軽症で遅発性である

●Murthy et al. (2005) は, Papillon-Lefevre 症候群の14歳男児で, 眼球表面扁平上皮新生物 (carcinoma in situ [上皮内癌]) を報告した

Population Genetics
Laass (1997) stated that the frequency of PLS is approximately 1 to 4 per million.

治療
●Nazzaro ら(1988) はetretinateのフリー酸であるacitretinで著明に改善した組織異常を報告した
 彼らは治療が早期に始められるなら, 患者は正常の永久歯をもてるにちがいないと示唆した.

マッピング
●Laass ら(1997) は, 3つの血縁家系 (2つはトルコ, 1つはドイツ起源)でPLS の homozygosity mapping をおこなった
 伝統的連鎖解析もこれらの家系と3つの多発家系でおこなわれた
 11q14-q21 の metalloproteinase 遺伝子クラスター (例 MMP7; 178990)の近くのマーカーD11S937 との連鎖があった (maximum 2-point lod score =6.1 at recombination fraction theta = 0.00)
  metalloproteinase 遺伝子クラスターは 11q21-q22, または 11q22-q23, または 11q22.3, または 11q23にマップされると考えられている
 Multipoint likelihood の計算はD11S901 と D11S1358の間に maximum lod score = 7.35 を与えた
 3つの血縁家系の患者での子孫での 9.2-cM のホモ接合体の領域は, マーカー D11S1989 と D11S4176の間に置かれた
 全家系でのハプロタイプ解析はこの位置を支持した

●Fischer ら(1997) は, 同様に, 4例の患者同胞をもつ大きな血縁家系で homozygosity mapping により第一次ゲノム全体の調査をした
 ホモ接合体と連鎖は 11q14 領域に証明された
 連鎖は広範な人種的地理的背景をもち, 2家系で血縁がある, 4つの追加家系で確認された
 maximum 2-point lod score = 8.19 (at theta = 0.0) がマーカー D11S901 で得られた
 組換えの解析で, 遺伝子を D11S901 と D11S4175の間の7 cMインターバルに置いた
 共通するハプロタイプは調べた5家系ではなかった

●Laass ら(1997) は, トルコ人起源の2つの血縁のある家系と3つの多発家系 (1つはエチオピア人, 2つはドイツ人で, 合計10例の患者と5例の患者でない同胞あり)で, PLS と 11q13-q14 の D11S937 との連鎖を証明した (maximum lod = 5.1 at theta = 0.0)
 トルコとエチオピア家系での患者は, D11S937 と D11S4120の間のultra-high-sulfur keratin (KRN1; 148021) の遺伝子から18cM のインターバル降りたところのマーカーがホモ接合体であった
 Laass (1997) は PLS の頻度は約1-4/100万であるとした
 乳歯は通常4歳までに喪失し, 永久歯は17歳までに喪失する
  歯周囲炎は歯が喪失しが後生じる
  レチノイド療法は角化症と歯周囲炎の療法に効果がある
 さらなる家系調査は PLS 遺伝子座を11q22の9.2 cM のインターバルに精製した

分子遺伝学
●Toomes ら(1999) は, PLS 座が以前に11q14-q21にマップされていることから, 8つの小さな血縁家系でホモ接合体マッピングを行い, 候補領域をD11S4082 と D11S931の間の1.2-cM インターバルに狭めた
 リソソーム protease であるcathepsin C (CTSC; 602365)遺伝子はこのインターバルにあることが知られていた
 Toomes ら(1999) はCTSC 遺伝子のゲノム構造を定義し, 8家系の全てで変異を発見した
 これらの家系の2家系では機能アッセーは PLS 患者でほぼ全ての cathepsin C 活性の喪失と義務的保因者で活性の減少を証明した

●Hart ら(1999) は, 5つの血縁のあるトルコ人家系で4つの変異を発見した
 全ての患者は共通の祖先をもつCTSC 変異のホモ接合体であった
 臨床症状は義務的保因者にはみられなかった
 RT-PCR 研究は掌蹠, 膝および口腔ケラチン化歯肉の上皮で CTSC の発現を示した

●Gorlin ら(1976) はPLS と Haim-Munk 症候群 (HMS; 245010)は臨床的なバリアントであると示唆した
●Hart ら(2000) は PLS のトルコ人1家系でナンセンス変異を発見した (602365.0007)
 彼らはまた HMS の Cochin 隔離集団の4家系で同じコドンのミスセンス変異も発見した(602365.0006)
   PLS と HMS はアレリックであることを確認した

●Hart et al. (2000) は, オーストラリア, 英国, イラン, トルコおよび米国の PLS 患者で CTSC 遺伝子の変異を報告した
 変異は調べた20家系中14家系で証明された

機序
●Pham et al. (2004)は, Dppi を欠損するマウスと異なり, PLS 患者からの細胞障害性リンパ球は, リンパ球活性化キラー細胞機能と有意なgranzyme A (GZMA; 140050) および granzyme B (GZMB; 123910) 活性を維持することを発見した
 DPPI 活性の喪失は, 好中球由来 serine proteases の活性と安定性の重度の減少を伴っていたが, PLSの好中球は黄色ブドウ球菌と大腸菌への殺菌能の障害を一定して持っておらず, これらの細菌の殺菌に対して人ではserine proteasesへの選択的メカニズムが存在することを示唆した
 Pham et al. (2004) は, これらの観察は, PLS患者で全般的T細胞免疫不全表現型がないことの分子遺伝学的説明となると提唱した

●Meade et al. (2006)は, Toomes et al. (1999)が報告した血縁家系からの PLS同胞21例からの静止期 natural killer (NK) 細胞は, 活性のあるCTSC と GZMBを欠損することを発見した
 しかし, IL2 (147680)が存在すると, GZMB 活性と細胞融解機能は CTSC から独立して回復された

(ノート2)
●Papillon and Lefevre (1924) は, 掌蹠過角化症と乳歯および永久歯の双方の支持組織破壊からなる症候群を記載した
●その後, 250例以上が記載されている
●総合的研究は, Haneke (1975), Hart and Shapira (1994), および Hattab et al (1995)でみられる
●本症候群は, 常染色体劣性遺伝である
 両親の血縁が約40%で発見されている
(El Darouti MA et al 1988, Gelmetti C et al 1989, Haneke E 1979, Naik DN et al 1968)
●本疾患の頻度は, 約 1/4, 000,000 である (Gorlin RJ et al 1964)
●本疾患は, サウジアラビアで頻度が高い
●遺伝子は, 11q14 にマップされている
(Fischer J et al 1997, Hart TC et al 1998, Laass MW et al 1997)
●リソソーム protease であるcathepsin C 遺伝子変異を表している
(Hart PS et al 2000, Hart TC et al 1999, Toomes C et al 1999)
 Cathepsin C は, 骨髄系およびリンパ系細胞の免疫および炎症反応に決定的ないくつかの serine proteases をプロセッシングし活性化する酵素である
●創始者効果がみられている (Zhang Y et al 2001)
●Haim-Munk 症候群の考案は, 鑑別診断を参照

皮膚
●10歳代ないし30歳代, またはまれ, より早い時期に, 掌蹠がびまん性に赤く落屑性となる
 手掌の過角化症は, 通常非常によく境界明瞭で, 辺縁に拡大し, 母指球上に, 掌側手首にみられる
 足底は, 通常より重症で, 辺縁の皮膚がむけ, 顕著な場合はアキレス腱に伸びる
 まれに, 膝, 肘, 外果, 脛骨結節および指趾関節背部が, 乾癬様落屑性発赤を示す
(Bork K, Lost C 1980, Naik DN et al 1968)
 足底皮膚肥厚と亀裂は, 歩行困難となりうる
 過角化症の程度は重度ではないが, 正常な皮膚マーキングは減弱し, 患部皮膚は羊皮紙様の質感を連想させる
 病変の程度は変動するようで, 冬に悪化しうる
 皮膚は, 明らかに年齢とともにいくらか改善するが, ある程度の掌蹠過角化症は障害残る
 爪の病変はほどんどない
 反復性膿皮症が20%でみられる (Gelmetti C et al 1989)

その他の所見
●テントと脈絡叢の付着部にカルシウム沈着 (Gorlin RJ et al 1964, Piquet B et al 1969, Rosenthal SL 1951) が報告されているが, おそらくこの所見は偶然である
 A. actinomycetemcomitans (Actinobacillus) 感染への感受性増加が示唆されているが (Bimstein E et al 1990, Djawari D 1978, Haneke E 1979, Haneke E et al 1975, Ishikawa I et al 1994) , 同じ所見が, 若年齢歯周囲炎で生じうるので, その特異性は疑わしい
(Gunsolley JC et al 1990) (see below)
 肝膿瘍のリスクは12%である (Oguzkurt P et al 1996)

口腔所見
●乳歯の発生と萠出は正常に生じるが, 掌蹠過角化症の出現とほぼ同時に, 歯肉は腫脹, 出血し, 柔らかくなる
 著明な口臭が生じる
 歯周破壊が, 最後の乳歯臼歯萠出とほぼ同時に生じる
 歯は, ほぼ萠出順に障害される
 深い歯周ポケット形成が, 歯脱落に先行する
 4歳までに, ほぼ全ての乳歯が喪失する
 歯脱落後, 炎症はおさまり, 歯肉は正常な外観を取り戻す
 口はその後永久歯が萠出するまで正常にみえる
  ほぼ同じ経過でプロセスが繰り返される
 ほとんどの歯は14歳までに脱落する
 数例では, 第3大臼歯は脱落しない
 歯槽隆起は完全に破壊されることが多い
 活発な歯周破壊中であっても, 口腔組織の残りは完全に正常にみえる

鑑別診断
●びまん性掌蹠過角化症をもつ全ての疾患が除外されるべきである
 しかし, 早期歯周破壊を伴うものは, Haim-Munk 症候群を除き, Papillon-Lefevre 症候群のみである
●Haim and Munk (1965) およびその他 (Bergman R, Friedman-Birnbaum R 1988, Hacham-Zadeh S et al 1978, Puliyel JM, Sridharan lyer KS 1986, Rosenthal SL 1951, Smith P, Rosenzweig KA 1967, Trattner A et al 1991) は, インドの Cochin からの血縁のあるユダヤ人3家系の数例で, 珍しい症候群を報告した
 先天性掌蹠角化症, 進行性歯周破壊, 扁平足, 反復性化膿性皮膚感染症, 先細りの尖った指趾末端と鷲手様手掌側湾曲をもつくも指をもつ
 Papillon-Lefevre 症候群とは反対に, 皮膚症状はより重症かつ広汎で, より遅い発症をもつ
 歯周は, より軽症である
 2000年に, 若年性歯周炎とアレリックな変異によることが示された (Hart TC et al 2000)
●乳歯+/-永久歯の早期脱落は, 外傷, 先端疼痛症, histiocytosis X, 低ホスファターゼ症, 白血病, いろんな好中球減少, 無カタラーゼ症, Chediak-Higashi 症候群, および若年性歯周囲炎でみられる
(Giansanti JS et al 1973, Gorlin RJ, Chaudhry AP 1960, Manson JD, LehnerT 1974)
●Chediak-Higashi 症候群での障害は, cathepsin G の変異によるようだ (Toomes C et al 1999)
●alkaline phosphatase 欠損による常染色体劣性形成で伝達される低ホスファターゼ症は, くる病様状態を伴う
 外反膝, 大腿骨と脛骨湾曲, 手関節腫大, およびその他の兆候に加え, 歯は低形成のことが多く, セメント質が欠乏し, 早期脱落する
 歯肉炎症はない
 尿中に phosphoethanolamine 量の増加がある
●無カタラーゼ症は, 常染色体劣性形質で伝達され, 日本と韓国以外にはまれである
 歯肉と歯槽骨の進行性壊疽性病変が特徴で, 歯脱落となる
(Preus HR, Mdrland AB 1987)
●手掌過角化症は, 他の疾患をもつ患者で, 2連関としてみられている
(Giansanti JS et al 1973, Gorlin RJ et al 1964)
 掌蹠過角化症と歯肉過角化症の症候群でも生じうる
 常染色体優性遺伝性掌蹠過角化症は, 低身長, 顔貌以上, 難聴, けいれん, 弯指, 爪異形成および乏歯症を伴う (Seow WK 1989)
●Brown et al (1993) と Bullon et al (1993) は, Papillon-Lefevre 症候群の遅発性バリアント (30歳代) を報告した

検査
●いろんな免疫学的異常が報告されている
 T 細胞およびB細胞マイトーゲンへの in vitro 反応性の障害 (Laass MW et al 1997, Van Dyke TE et al 1984)
 好中球遊走能障害, 貪食能障害, S. aureus と C. albicans の細胞内殺菌減少 (Djawari D 1978, Firatli E et al 1996, Firatli E et al 1996, Fischer J et al 1997)
●リンパ球サブセットと単球機能異常も記載されている
ribed (Firatli E et al 1996, Firatli E et al 1996, Fischer J et al 1997, Haneke E et al 1975, HR, Mdrland AB 1987)
 しかし, 他の研究では障害はみられていない (Celenligil H et al 1992, Schroeder HE et al 1983, Tinanoff N et al 1995)

(文献)
(1) Papillon MM, Lefevre P: Deux cas de keratodermie palmaire et plantaire symetrique familiale (maladie de Meleda) chez le frere et la soeur. coexistence dans lke deux cas d'alterations dentaires graves. Bull Soc Franc Derm Syph 31: 82-87, 1924
(2) Jansen LH, Dekker G. Hyperkeratosis palmo-plantaris with periodontosis (Papillon-Lefevre). Dermatologica 113: 207-219, 1956
(3) Greither A. Keratosis palmo-plantaris mit Periodontopathie (Papillon-Lefevre). Dermatologica 119: 248-263, 1959
(4) Ziprkowski L et al. Hyperkeratosis palmoplantaris with periodontosis (Papillon-Lefevre). Arch Derm 88: 207-209, 1963
(5) Gorlin RJ et al. The syndrome of palmar-plantar hyperkeratosis and premature periodontal destruction of the teeth: a clinical and genetic analysis of the Papillon-Lefevre syndrome. J Pediat 65: 895-908, 1964
(6) Smith P, Rosenzweig KA: Seven cases of Papillon-Lefevre syndrome. Periodontics 5:42-46, 1967
(7) Naik DN et al: Papilfon-Lefevre syndrome. Oral Surg 25:19-23, 1968
(8) Picarelli A: Le parodontopatie giovanili in corso d'ipercheratosi palmoplantare e la sindrome di Papillon-Lefevre. Minerva Stomatol 17:587-601, 1968
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2010/05/25
2014/07/16 変異追加・変更
2015/08/04 SNP
2016/07/13 SNP